読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ワクワク・ライフ・バランス

誰を向いて仕事をするのか?

なぜ2015年になっても車が空を飛んでないのか?

 今年も残す所、後25日です。ジモコロの用意をし始めたのが、昨年の今頃だった気がします。2015年は、良くも悪くもジモコロに集約される年だなと思います(まだ終わってはいませんが)。ただそんな中でも個人的に気になっていたのは、ネット上でも話題にもなっていた映画「Back to the Future Part 2」で描かれた年でもありました。

 1989年の公開時、私は11歳、小学校6年生でした。2015年になれば、それこそ21世紀になれば、未来的な様々な(空想)技術が当たり前になって、少なくとも誰もが空を飛んで移動している時代なんだと想像していました。しかし当時の26年後の今、残念ながら映画の中で描かれていた空飛ぶ車や、ホバーボードは一般化されていません(それぞれ試作はされている様です)。

 なぜ、それらの技術は一般化されなかったのでしょうか?ドラえもんひみつ道具にも言える事ですが、「あったら良いな」という技術がいくつもあったはずです。少なくとも移動手段として空を飛べる様になる、というのは(運転難易度は別にして)移動時間を現実的に短くしてくれる技術革新だと思えます。SF映画ともなれば当たり前の様に、人は空を飛んで移動しています。

 現実的には各種利権や商業的・政治的課題、何よりインフラ整備の投資などがすぐに思いつく課題かと思います。ではなぜイーロン・マスクは宇宙開発を行っているのでしょうか?宇宙に出たとしても、上記の諸々の課題はついてまわる話しだと思えます。持って回った言い方かもしれませんが、「2015年になっても車が空を飛んでいない」理由は、『そういった時代を本気で築こうとする人がいなかった』と言及できる気がします。

 マーケティングでは各種データを用い想定される市場や仕組みを予想してくれます。今を生きる人や、持続性が求められる企業からすれば、実現可能性の高い(精度に依存しますが)未来に導いてくれるかと思います。しかしイノベーションの文脈で語られる未来は、正にBack to the Futureの様に、『今の文脈からシミュレートできる未来ではなく、文脈の外(シミュレートできない)の未来』を求められるケースが多いのではないかと感じます。

 そう考えると電気自動車ディーゼルなど、『今の車のあり方はそのままに、エネルギー問題に焦点を絞り売上拡大を目指す』という路線は、事業としては理に適っている事だと思います。だからこそ(カウンターとして)、宇宙を目指すイーロン・マスクは、その技術を車に反映させたのではないでしょうか。宇宙への往復技術が確立されれば、もしかしたらその技術を元に車さえ飛ばすかもしれません(そういった未来に興味があれば、ですが)。

 ただしそれは『(安定的に)売れるか売れないか』を前提に考え行動するか、『世界を変える』ために行動するか、その価値観に依存しています。ジョブズが世界に提案した、ワンボタンマウスやブロックアイコンのインターフェースなど、後者は結果的にスタンダードになっていますが、前者のシェアは世界的に見れば数%でしかありません。それでも、ジョブズのプレゼンに私たちが期待していたのは、マーケティングに裏打ちされシミュレート可能な打算的な市場成長よりも、『私はこのプロダクトで、世界を変える』というメッセージだったと、今更ながらに考えさせられています。

 だからこそ、2015年になっても車が空を飛んでいないと嘆くのではなく、結局、開発されなかったと誰かのせいにするのでもなく、『2015年に、私は車を飛ばすにはどうしたら良いのか』に向き合う必要があったのだと思い知らされました。私たちが目にする(空想)未来像は、あくまでも空想です。結果、それ以上の技術発展もあれば、全く近づかない(現状と変わらない)未来もあります。それは一重に、『そういった未来を望むのであれば、自ら実現できる様に』行動していれば、少なくともタイヤ位は空を飛んでいたかもしれません(そう考えるとドローンはその派生なのでしょう)。私が望む未来は誰かの手に託すのではなく、自ら実現できる様に取り組むのが実現可能性を高める方法だったのではないでしょうか。

 どこかの誰かが素晴らしい未来を見せてくれて、どこかの誰かがその未来を現実にしてくれて、自分はその現実を享受して『人間て凄いね』と他人事の様に便利さを受け入れている今日この頃。客観的なデータに基づいた話しは安心感があるけれども、小学6年生の自分が描いていた未来に近づくためには、今あるデータや文脈の外に出る事が手始めの様な気がしました。世界をどう変えたいのか、という問いは大げさだけれども、未来の自分はどんな世界に生きているのかを想像し、そのワンシーンを自ら実現できれば、結果的に世界にインパクトを与えるイノベーションになっている、という事なんだなと改めて独りごちた師走となりました。