ワクワク・ライフ・バランス

誰を向いて仕事をするのか?

一週間の育児休暇(男性)をとってみた

4人目にして初めての育児休暇

 Indeed Japanでは、2018年4月1日より新たな育児休暇制度が策定された。先日報道があり国でも今後検討されるようだが、Indeed Japanでは、例えば男性社員であれば子どもの1歳の誕生日までに、週単位で最大6週間の育児休暇が取得できるようになった。今回はその育児休暇制度に基づき、一週間の育児休暇を取得してみた。
www.nikkei.com

うちの家族構成

 今回の育児休暇対象である末っ子は、2017年6月14日産まれの男の子。もう少しで1歳の誕生日である。
 他に、小学校6年の長男、小学校5年の長女、小学校3年の次女、そして犬と猫。

最初に結論

 一週間ではあるが育児休暇をとってみた結果、下記のメリット・デメリットが挙げられる。

気がついたこと

  • 育児休暇は、会社を休暇するけれど、育児のための休暇であり日々とても動き回るし、仕事以外の体力と知識、筋肉が必要になる。

メリット

  • 日々の末っ子の成長を身近に感じられる。
  • 末っ子との距離がとても縮まる。
  • 時間に追われずに子どもたちを見られるため、あまりイライラしない。
  • 子どもたちの登校を見送れる。

デメリット

  • 仕事とは違う筋肉を使うのでそれなりの筋肉痛。
  • 近隣の住民から、なぜ平日に犬の散歩をしているのか訝しがられる。
  • 仕事が気になる。

育児休暇の申請について

 今回策定されてからすぐに私は申請を出した。男性の育児休暇では初めての事例になるだろう。事前に、上長とも同僚とも相談をしたが育児休暇を取ることでの申請上のハードルは何もなかった。

 【申請上の】という言及をしたのは、反面、私自身、仕事を一週間休むことへの心理的ハードルがあったからだ。ちなみに前職からIndeed Japanへの転職でも有給休暇は使わずじまいだったので、いわゆる長期休暇以外での休暇は仕事をし始めてから初めての経験でもある。

気がついたこと(内容)

 仕事を休むことへの心理的ハードルがあったものの、実際はそれ以上に末っ子との時間の比重が大きく、いわゆる【休暇】とは全く異なったものだった。もちろんのことながら、【育児】をするために仕事を休業するので育児にかけるリソースが最大となる。

 言葉にするととても至極当たり前のことであるが、下記で言及されたように、リソースを割くためにも仕事で使う知識以外の知識が必要となるし、何よりハイハイからつかまり立ちをし始める時期の乳幼児は目が離せない。彼ら・彼女たちは、何をしでかすかわからないのである。
headlines.yahoo.co.jp

 今回4人目となり慣れたつもりではいるが、末っ子が活動している間はやはり気が気ではない。ベビーサークルを置いたり、ずっと抱っこする、という回避方法もあるが、うちの場合は事前に最低限の危険回避だけしておいて、あとは好きにさせている。

 これは上の子たちもそうだが、日常的なことは全て子どもたちに、敢えてやらせる。例えば給食着のアイロンなどは、小学校1年になった段階で、自分たちでかけられる様に教える。その分、ヤケドもするが、ヤケドをした場合の対処も覚える。

 話が逸れたが「仕事休みで時間ありそう」と思われそうだが、その時間は育児に集中しているし、1歳どころか3歳くらいまでは夜泣き(恐縮ながら、私は起きられません)なりで、時間の概念があまりない。なので、単純に仕事を休みたいのであれば育児休暇ではなく、有給休暇を取るべきである(奥さんからすれば結果同じことだが…)。

メリット(内容)

 1歳までの成長スピードはとても早い。産まれてから目が見える様になり、首が座り、寝返り、腰が座り、ハイハイをし、つかまり立ちをする。人間としての身体的な成長を一番する時期だと思う。様々なことができる様になっていく子どもの成長に立ち会えることは、何よりも代えがたいことではある。

 また仕事をしていたら、1日の内子どもに使える時間はとても限られている。それこそ朝だけ顔を合わせて、また次の朝ということも当たり前になっているだろう。その分週末は子どもたちに時間を使うつもりでも、結局、平日にできなかった家のことや買い物などで週末が潰れることになる。

 今回の育児休暇で、平日にできる限り家のことができたので、週末は子どもたちと時間を費やすことができた。

 日々、小学校組の子どもたちの宿題を見て、朝、登校を見送り、子どもたちの部屋を片付け、余裕を持って子どもたちと接することができた。週末に全てが集中して時間に追われる週末でなくなったのは、とても大きな意味があったと思う。

デメリット(内容)

 仕事とは全く異なる筋肉を使うことになる。とても具体的なところで言えば、1週間の内、子どもを抱っこする時間が多くなる。PCを開く回数より、ミルクを作る回数が多い。スマホを見るより、子どもの動向から目を離せなくなる。日中、家の周りを歩くと近所の人と挨拶から会話となり、ビジネスとは異なるコミュニケーション能力が試される。

 また日本の男性の育児休暇の取得率は5%程度の様だ。福祉国家の北欧では80%程度らしいが、アジア諸国では日本と同様の状況の様だ。

 【仕事を休む】ということに対するハードルがここでも出現する。有給休暇も育児休暇も労働者の権利として確保されているにも関わらず、それぞれ取得率が向上しない理由がある。

 人により様々だろうが、日々仕事が気になる。他に育児休暇を取られた方のブログなどを見ていると、「会社関連のメールはすべてシャットアウト」「会社関連の連絡は絶対に受けない」という内容が多く見られた。

 職種やポジション(=責任)によりその対応は異なるのだろうが、気にしないふりをしていても、関係のあるコミュニティとして結局無視はできないのである。

 今後、日本において男性の育児休暇の取得率を向上させるには、制度ではなく心理的な負担を軽減することが全てである気がする。

さいごに

 4人目にして、短期間ながら初めての育児休暇を取得できた。上3人をどうやって育てたのか今になっては思い出せない。私たち夫婦はそれぞれの両親に頼ることなく、それこそ奥さんは一度も里帰りすることなく、今まで子育てをしてきた。

 私はファミリーサポートという子ども預かりのボランティア制度にも登録しているが、活用できるものは全て活用してきた。

 また子育てに時間を費やすだけではなく、奥さんは一番上が3歳、2歳、9ヶ月の子どもを抱えながら4年生の学校に入り、国家資格を取得した。

 私は前職で出社時間ギリギリで子どもたちを保育園に送り、定時で帰り子どもたちを迎えにいった。熱を出したときは会社を早退し、子どもたちと共に時間を過ごした。

 実際そんなことで会社をクビになるくらいなら、こっちから辞めてやると覚悟していた。

 そんな夫婦を憐れんでか、近隣の人たちが手を差し出してくれた。赤の他人が子どもを変わりに迎えに行ってくれたり、夫婦がどうしても休めないときは子どもを預かってくれたり、それこそ夫婦の帰りが遅いときは夕食まで提供してくれていた。

 子どもを育てるのはもちろん夫婦であるのは間違いないし、それこそ、その血縁が手助けできるのであればより良いだろう。ただそれだけでは手が足りない。

 人を一人育てるには、様々な人の協力や助けが必要になる。直接的には近隣の方々の目や関心。間接的には会社の有給休暇や育児休暇制度。

少子化対策】という言葉を目にしながら4人の子どもを育てているが、現実的な子育てに紐付いた少子化対策がどこで実施されているのか全く実感がないのも実情である。

 政治的な少子化対策や、ファッション言説としての少子化対策、またわかった風な育児論などどうでも良いので、一度は覚悟と責任を持って【親になる】という経験はしても良いのではないかな、と思う。

 一度でも親になる経験をしていれば、子どものために時間を使う意義や意味が伝わるはずである。少子高齢化していく社会。子育てに厳しい社会。結局は相関関係にあるのだと思う。

 子育てをしていないから、子育てが理解できない。時間の使い方が本質的に異なる現実が伝わらない。本来的にはそんな回りくどい必要もなくて、自分で子育てしなくても、その本質を想像できる人間的余裕がそれぞれにあるのであれば、日本の少子化問題はもう少し改善するのではないだろうか。

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