日本人はイタリアにコロッセオは見に行くけれど、吉野ケ里遺跡を見に来る外国人はどのくらいいますか?
日本はこれから何で稼いでいくのだろう、という問もあるけれども、タイトルの通り文化遺産(既存コンテンツ)を活かすにはどうしたら良いのだろう。
海外旅行の目的は?
日本人が海外旅行に行く目的はなんだろうか。
- リフレッシュ
- 買い物
- 観光
- 留学
- 散策
- 息抜き
- 何もしないをしよう?
海外旅行に関する調査に基づけば、
- リゾート(海・山)
- 世界遺産・名所
- グルメ・ショッピング
- 自然・景観・町並み
がトップに来ている。
満足度では、
が上位である。
日本に来る外国人の目的は?
では、日本に来る外国人の期待はなんだろうか。
- SAMURAI
- ちょんまげ
- ニンジャ
- ゲイシャ
- SUSHI?
観光庁の2017年のデータに基づけば、
の順である。
ちなみに満足度順では、
の順となる。
クールジャパンてなんだっけ?
一応の確認として、海外施策として掲げているクールジャパンの目的は?
「日本の魅力」を付加価値としつつ産業として発展させ、海外需要の獲得(アウトバウンド)及び日本国内への海外需要の取り込み(インバウンド)につなげる取組を重点的に展開
5年ほど取り組んだ結果、上述の実態からつまりは「日本食」がクールジャパンの行き着く先なのだろうか。
文化はマネタイズできないのか?
毎年世界の観光収入国として上位に来るイタリア。
4年近く滞在したが、観光客の目的は、
- ショッピング(アパレルブランド)
- 世界遺産・名所
- イタリア食
- サッカー
が上位だった。
ちなみにイタリアは世界遺産ランキングにおいても、文化遺産部門ではその登録数はトップである。
カテゴライズすると、
- ショッピング(アパレル)
- 文化遺産
- 食文化
- スポーツビジネス
となる。
日本も同様に置き換えてみると、
- 食文化
- ショッピング(菓子類・酒・カメラ)
- ウィンドウショッピング
- 自然遺産
が外国人観光客の訪問目的となる。
共通項では食文化、ショッピングだが、イタリアに比べると単価が低そうな分、稼ぐ力としては弱そうである。
さて本題はここからである。なぜ日本では文化遺産が注目されないのか。
クールジャパンの功罪
クールジャパンの推進で、アニメやMangaが先に立つ。好まれるコンテンツは、ニンジャやSAMURAI、カタナやキモノである。ないしは攻殻機動隊に代表される近未来的社会である。
さて日本各地にその土地々々で差別化されたニンジャやSAMURAI、カタナやキモノはあるのだろうか。あったとして、その差異はそもそも日本人が説明できるものだろうか。つまりは近世をコンテンツ化することで、日本全国各地に外国人観光客を呼び込めるのだろうか。
どこかでやっていそうだが、クールジャパンに投資している予算に対して観光収入の成長率は妥当だったのか。
そもそも海外旅行する日本人の行き先を国内旅行に変えるような動きをした方が、国内の経済循環は健全ではないだろうか。
考古学に携わり、その課題感から提案できるのは下記の通り。
縄文と弥生を見に来る外国人を醸成すること。またはそれ、ないしは以降(古墳以降)の文化遺産を見に行く国内旅行者を増やすこと。
ここ最近縄文ZINEや、縄文-JOMONと縄文が取り上げられている。
jomonzine.com
jomon-kodo.jp
もっともっとそういった動きが活発になれば良いと思う反面、ファッション的な消費にならなければ良いと思う。
考古学からビジネスに入り、マーケティングに携わり、日本では如何に文化遺産のマーケティングが脆弱か認識できた。そもそもマーケティングをしている人たちも、ビジネスありきでしかマーケティングを語らない。いずれの能力・スキルも、アカデミアとビジネスを越境することがない。
自分ができることはここ数年でかなり明確になっているのだけれども、手がけるべき実行プランとしてまだ具体的な手がかりがない。縄文や弥生や古墳を見に行く日本人をどう増やせるのか。そのコンテンツを武器に、フォロ・ロマーノやコロッセオにどう勝っていくべきなのか。何より文化遺産を研究する人材をどれだけ育成し、そしてコンテンツ化していけるのか。
まずは商業施設やアンテナ基地局で古墳を壊すのではなく、眠っている文化遺産をみんなで掘ってみたら良いんじゃないだろうか。掘り返すことで貴重な文化遺産をそれこそ風化の危険に晒すことになるが、その保全と修繕に当たり前に税金が充当されるような文化意識が醸成されると良いと思う。
Coverされているものを、Discoverすることから進むべき道が発見できるのではないだろうか。