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誰を向いて仕事をするのか?

CM、動画の撮影について

 CMや動画がどの様に撮られているか、プロモーションを担当するまで明確には理解していませんでした。元々私もデジタルマーケティングから入っているので、それこそ初めてのマス広告の打ち合わせでは飛び交う用語が理解できず、GRPって何ですか?PPMって何の略ですか?っていうか、何でこんな高いんですか?と質問だらけになってしまいました。

最近の動画です。

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アイデム演劇プロジェクト【スマホを片手に走れメロス

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アイデム演劇プロジェクト【坊っちゃん2015】

 デジタルマーケティングであれば、それこそ数万円単位から始められますが、マス領域になるといきなり1,000万単位が当たり前になります。そこには色々な仕組みや工程があってそうなっているのですが、はじめの内は理解するまでにかなり時間を要しました。今思えば、その工数はジモコロでもかかっているもので、とてもわかり易く言ってしまうと「人間ならではの手間」に尽きるかと思います。
 さてCMや動画を作るにあたっていくつか手順がありますので整理してみたいと思います。

①【Purpose】まずは社内をまとめましょう。

 プロモーションと言うと、すぐに「CMやりましょう」となるのが良くある流れです。とても分かり易くて良いと思いますが、関東・関西エリアで放映する場合はコストがネックとなります。しかもCMにおいては、投資分に対しての広告効果が明確に取れるわけではありません。
 「この期間にこれだけCM投下をするので、売上を◯◯%上げます」と言うのが良くある社内プレゼンですが、そこの指標がブレない様にしないと、後々なんのためにCMをやるのかそれぞれが混乱することになります。

→CMをやる目的はブラさない。

②【What】何を伝えたいのか明確にしましょう。

 CMをやる事が決まったら、今度は何を伝えるのか決めなければいけません。CMの基本は15秒か30秒。しかも起承転結を考え、企業ロゴやサービスロゴのカットをしっかりと挟むとなると、メッセージの取捨選択が必要となります。限られた秒数で伝えられるメッセージを再整理することになります。

→メッセージは欲張らない。

③【How】どの様に伝えるのか考えましょう。

 メッセージが決まったらどの様に伝えるか考えなければなりません。タレントを使うのか。キャラクターを擁立するのか。それこそ企画だけでインパクトを出すのか。言わずもがなですが、タレントを使った場合、特に認知目的では、視聴者への到達スピードは早くなります。これは単純にタレントのファンの皆さんが紐付いてくれるからです。手法は様々ですが、選択されたメッセージを伝える最良の手法を選択するべきでしょう。

→CM=タレント、という構図が全てではありません。

④【Orientation】代理店や制作会社に伝えましょう。

 方向性が決まったら、動画を制作していかなければなりません。基本は、代理店を通し制作会社という流れかと思いますが、制作会社は固定で広告枠だけ代理店通しで買う、というケースもあるでしょう。①〜③までをできればドキュメントにまとめ、齟齬がない様に伝えるのが良いと思います。この作業は、システム開発におけるRFPの様なものです。

→社外の人間に伝える際は、出来る限り一般化して伝えましょう。

⑤【Presentation】企画案〜ストーリーボード〜絵コンテを確認しましょう。

 オリエン後、代理店(制作会社)から企画案が上がってきます。「望んでいる画はこういう事でしょうか?」という要件確認書になります。この段階で、いわゆるトーン&マナーや、タレント使用の有無などが決まります。企画案がまとまり次第、ストリーボード〜絵コンテとなり、15/30秒のカット割りが決まっていきます。要件定義に近い作業となります。

→想像していたものがしっかりと伝わっているか確認しましょう。

⑥【Shoot】PPM〜撮影となります。

 絵コンテまでくれば、後は撮影するだけです。事前にPPM(プリ・プロダクション・ミーティング)を行い、全体から詳細まで最終チェックを行います。撮影場所がスタジオなのかロケなのか。また天候に左右される場合のリスクヘッジはどうなっているのか。撮影に入ってしまうと基本は立ち会うだけとなります。モニターチェックをしながら、気になる事があればその場その場で確認をしていかないと、撮り直しが発生してしまい制作コストが跳ね上がってしまいます。

→撮影は基本一度キリなので、想定される画は撮り置きをしましょう。

⑦【Edit】仮編集〜本編集・MA

 撮影後は編集作業に移ります。編集室にて、まずは撮った素材を繋ぎ全体のストーリーに違和感がないか確認します。この段階では色調も音声もまだ荒いものになっていますが、全体の構成が整い次第、細かい調整に入ります。音声についてもMAによって調整され一般のテレビスピーカーでも聴きやすいか確認します。

→編集作業が最後の仕上げです。気になるところがあれば、カットや色味、また音声などひとつひとつ調整しましょう。これで動画が完成となります。

 動画を広告軸とする場合に、CMありきか結果的にCMかで、実は①〜⑤の工程は変化します。何かを効率的に伝えようと思った結果、コストと到達スピードを加味した際にCM・動画という手法が優先されがちですが、現状の数字上ではYouTubeに代表されるWeb動画も外せません。
 TVを見るユーザー向けとYouTubeユーザーではその作り方が全く異なりますので、注意が必要です。具体的には、CMは上記の様に15/30秒というフォーマットがありますが、Webにはそういったフォーマットがありません。今後、Web動画マーケティングにおいてもフォーマット化が進むかと思いますが、良い意味で定形化されないのがWebの可能性だと思いますので、今後、動画制作業界においてもWebを前提とした制作手法が議論されるかと思います。

ここ数年の結論ですが、CMを作れる人と、Web動画を作れる人はまだまだ多くありません。なぜなら業界的には、CMクリエイターがTVCM同様にWeb動画を制作するケースが一般的だからです。今後はWeb動画界からCM業界に出てくる人が多くなるのではないでしょうか。